鈴木 邦成 コラム

日本SCM協会の発足、そしてSCMの普及

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2014年8月6日

ビジネスの現場では「サプライチェーンマネジメント(SCM)」という言葉がすっかり定着しました。企業だけではなく、大学、高校などでもしきりに使われます。

SCMの考え方が広まる以前は、調達や生産などの個々の部門が、それぞれの情報を別部門と共有することは、かならずしも一般的ではありませんでした。それぞれの部門がそれぞれのやり方で最適化を目指したのです。これを「部分最適」といいます。しかしそれぞれの部門で最適化を目指しても、「全体最適」が実現されるというわけではないのです。  

これに対して、SCMでは全体最適が重視されます。調達から販売までのビジネスプロセス全体で、情報を共有し、在庫情報などを可視化し、全体として最適の改善策、効率化策を打ち出すことを可能にするのです。つまりSCMとは部分最適ではなく、全体最適の実現を目指す経営手法なのです。

SCMの導入は「限られた大企業以外はむずかしいのではないか」ともいわれてきました。しかしながら、近年はビッグデータの活用やクラウドコンピューティングの導入などが大きな追い風となり、SCMの本格的な導入を検討する企業が増えています。

また、経済活動のビジネススキームのなかにSCMの概念が取り入れられ始めているので、SCMの概念を理解していないと、「在庫は悪」、「サプライチェーンの寸断」などといった、背景にSCMの考え方が内包されているビジネス関連の文脈もピンとこなくなります。

ビジネス常識としても「SCMとはなにか」を理解する必要があるのです。もはや、SCMなしで、ビジネスを語れない時代となったといえましょう。SCMを導入しなければ現代経営を進められないといっても過言ではないのです。

そうした点も踏まえながら、日本SCM協会の活動は進められていくことになるわけです。

 
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